ニュースリリース

アサヒビール株式会社のニュースリリース

ニュースリリース2010年

2010年04月13日
アサヒビール株式会社
独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構
九州沖縄農業研究センター

『砂糖・エタノール複合生産プロセス』を開発!
〜実験プラントでの実証に成功し、実用レベルでの検証へ〜

ポイント
製糖用従来品種と比べてバイオマス生産量が50%高く、糖収量が30%多い高バイオ マス量サトウキビ新品種を育成
高バイオマス量サトウキビを利用することで、現在の砂糖生産量を確保しながら、 食料と競合することなく、バイオエタノールを大量に生産できるシステムを開発
概要

 アサヒビール株式会社と農研機構九州沖縄農業研究センターは、生産力が飛躍的に向上した「高バイオマス量サトウキビ」(製糖用のサトウキビに比べて、1.5倍程度のバイオマス総量)新品種を用いて、砂糖生産量を確保しつつ、低コストで大量のエタノールを生産可能な『砂糖・エタノール複合生産プロセス』を開発し、伊江島の実験プラントで実証しました。また、バガス(サトウキビ搾汁後の繊維性の残渣)を用いて、全ての製造エネルギーを自給するカーボンニュートラル(排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素の量が同じ)なプロセスについても実証しました。

 この砂糖・エタノール複合生産プロセスを実用レベルで検証することにより、南西諸島におけるサトウキビ産業の活性化や地球温暖化ガスの削減効果が期待されます。

<関連情報>
予  算 農林水産省 バイオマスの環づくり交付金事業(H17〜18年度)
地域バイオマス利活用交付金事業(H19〜20年度)
委託プロジェクト「地域活性化のためのバイオマス利活用技術の開発」(H19〜23年度)
NEDO バイオマス等未活用エネルギー実証試験
「沖縄地区における燃料製造のためのサトウキビからバイオマスエタノール製造技術に関する実証試験」に係る共同研究(H17〜21年度)
 
品種登録 2010年5月出願予定
特  許 「砂糖及び有用物質を製造する方法」(特許第3769734号)
問い合わせ先など
研究推進責任者 アサヒビール株式会社 代表取締役社長 泉谷直木
広報担当者 アサヒビール株式会社 広報部 報道担当 
          電話(03)5608-5126
 
研究推進責任者 農研機構九州沖縄農業研究センター 所長 井邊時雄
研究担当者 農研機構九州沖縄農業研究センター
  さとうきび育種ユニット長 寺内方克
広報担当者 農研機構九州沖縄農業研究センター
  広報普及室長 橋本知義
    電話(096)242-7530
研究の背景

 南西諸島の基幹作物であるサトウキビは台風や干ばつの影響を受けやすく、安定多収技術や低コスト栽培技術の開発が求められています。また、生育が旺盛で副産物の有効利用が期待できる高バイオマス量サトウキビの育成と活用法が求められています。
 このような中、環境研究の一環として、アサヒビール株式会社の持つ発酵・エタノール抽出技術と、農研機構九州沖縄農業研究センターの持つ高バイオマス量サトウキビ品種育成技術とを組み合わせ、従来の砂糖生産量は維持しつつ、低コストで大量にバイオエタノールを製造することを目的として、『砂糖・エタノール複合生産プロセス』の共同研究を開始しました。

研究の内容・意義
1. サトウキビのバイオマス生産力を飛躍的に向上させ、従来の製糖用品種と比較して、単位面積当たりの収量(原料茎重)が1.5倍、全糖収量が1.3倍、繊維量が1.8倍となる新しい高バイオマス量サトウキビ品種を育成しました(資料1)。この高バイオマス量サトウキビ新品種は、従来の製糖用品種に比べ砂糖含有率はやや低いものの、原料茎の収量が50%程度大きく、多回の株出し栽培(収穫後の地下株から再び出る芽を栽培し収穫する方法)も可能であるため、大量の原料を低コストで生産することが可能となります。
2. 伊江島(沖縄県伊江村)の実験プラントにおいて、この高バイオマス量サトウキビ新品種を用いて、従来の砂糖生産量を維持したまま、耕作地面積あたり、5倍以上のバイオエタノール生産性が見込めることを『砂糖・エタノール複合生産プロセス』により明らかにしました。従来の方法では、十分な砂糖の量を取り出すため結晶化(砂糖結晶を作り、液体の糖蜜と分離すること。糖蜜とは砂糖結晶化後に結晶されずに液糖として残ったものを指す)という工程を3回実施していました。『砂糖・エタノール複合生産プロセス』(資料2)では、結晶化工程を1回に減少させても、高バイオマス量サトウキビ新品種による製糖原料の増大によって、従来と同程度の砂糖が回収でき、さらに1回結晶化後の糖含量の多い糖蜜を原料とすることで、大量のエタノール生成が可能になりました。
3. この『砂糖・エタノール複合生産プロセス』により、エタノールの増産を実現し、設備投資費用やランニングコストを削減できることが期待でき、さらに燃料となるサトウキビのバガス増産により、化石燃料が不要となるため、CO2排出削減効果が期待できます。
今後の予定・期待

 今後2年間の計画で、『砂糖・エタノール複合生産プロセス』の技術的な検証を実施し、実用レベルにまで技術を高めていくことを検討していきます。
 この研究の成果により、高バイオマス量サトウキビ新品種の可能性を追求した新技術が、食料やエネルギー問題に貢献(資料3)できることとなり、南西諸島におけるサトウキビ産業の活性化や農業振興及び地球温暖化ガスの削減効果への活用が期待されます。

用語解説

バイオマス:
動植物由来の再生可能な有機性資源のこと。バイオマスエネルギーは、化石燃料の代替となる再生可能エネルギーと期待されており、農林水産省をはじめとした関係府省が協力して、バイオマスの活用推進に関する具体的取組みや行動計画をまとめた「バイオマスニッポン総合戦略」が2002年に策定されています。

【資料1】
砂糖・エタノール複合生産を可能とする高バイオマス量サトウキビ「KY01-2044」
砂糖の生産量を維持しつつ、低コストでエタノールを生産するには、既存の製糖品種では収量が少なく、燃料となる繊維分も不足するため、サトウキビの生産力増強が不可欠となっていました。しかし、生産力を飛躍的に向上させた従来の高バイオマス量サトウキビでは、糖含有率が低く製糖が困難でした。そこで。高バイオマス量サトウキビの高い生産力を維持しつつ糖含有率を改善し、糖収量が多い新品種「KY01-2044」を開発しました。
【KY01-2044の特徴】
製糖品種(NCo310)とサトウキビ野生種(Glagah Kloet)との交配により作出した、多収だが糖含有率の低い高バイオマス量サトウキビ(KRSp93-14)を、製糖品種(NiF3)に再交配することで糖含有率の改良と糖収量の向上を実現した品種候補です(写真1)。
さとうきびの搾汁液の糖含有率は製糖品種よりやや低いですが、原料茎重は約1.5倍、全糖収量は約1.3倍となります(図1)。
繊維分が高いため、バガス収量は製糖品種の約1.8倍となります(図1)。
製糖品種より多回株出し栽培での生産力が高く、低コスト栽培が可能です(図2)。
南西諸島地域における「砂糖・エタノール複合生産」等の実用化に向けた技術開発および大規模実証のためのモデル品種として利用します。

図1 「KY01-2044」の株出し栽培での収量性及び糖含有率
南西諸島各地での現地試験(伊仙町、糸満市、名護市)の平均値、図中の数値は製糖品種に対する比率。


写真1  「KY01-2044」の草姿
左:「NiF8」、右:「KY01-2044」

図2 多回株出し栽培での生産力 (伊江島)
「Ni9」は製糖品種
【資料2】
【資料3】
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