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平成15年5月8日

“ビール酵母”の機能性研究の成果を学会発表
「乾燥ビール酵母の肥満予防効果」、「酵母マンナンの抗アレルギー作用」、
「酵母マンナンのミネラル吸収促進作用」の3研究
アサヒビール株式会社
  アサヒビール株式会社(本社 東京、社長 池田弘一)は、R&D本部未来技術研究所において進めているビール酵母の多面にわたる機能性研究によって、「乾燥ビール酵母の肥満予防効果」、「酵母マンナンの抗アレルギー作用」「酵母マンナンのミネラル吸収促進作用」という新たな酵母の機能についての研究成果をまとめ、第57回日本栄養・食糧学会総会(5月17日〜19日開催)において発表します。

 ビール酵母は、ビタミンB1・B2・B6など、人体の生理機能を調整するビタミンB群や、成長に欠かせない必須アミノ酸、ミネラル、食物繊維など、多様な栄養素をバランス良く含む、天然素材です。アサヒビール・グループでは、こうした特性を生かして、ビール酵母を薬品や食品の素材として活用しており、その歴史は70余年に亘ります。さらに、酒類事業から派生した優れた機能性素材として、ビール酵母のもつ新たな健康機能の研究・解明、機能性食品素材としての応用研究を進めており、これまでにも整腸作用関連、鉄分吸収促進効果、抗潰瘍作用、糖尿病改善効果などについて検討し、研究成果を発表しています。
 今回の3件の発表も、そうした研究成果の一端であり、こうした研究活動の成果を、お客様の食を通じた健康増進に寄与する事業活動につなげることを目指します。

「「乾燥ビール酵母による肥満予防効果」について

 この研究では、マウスに乾燥ビール酵母を含む飼料を長期間摂取させ、血液、内臓脂肪、腸内微生物等様々な項目について検査を行うことにより、ビール酵母の生理学的な影響を調べました。その結果、動物試験において、ビール酵母を継続的に摂取することにより血液中のインシュリン濃度が適値に維持され、過剰な体重の増加が抑制されることを確認したものです。

 研究では、雌雄のマウスを離乳直後の3週齢から人間の50歳前後に相当する16カ月齢まで、5%の乾燥ビールを添加した飼料で飼育し、ビール酵母を含まない通常の飼料で飼育した対照マウスと、いくつかの検査項目について比較を行いました。マウスには飼料を自由に摂食させており、試験期間を通じて酵母を与えたマウスと対照のマウスでは飼料の摂取量に差はなく、ほぼ同じカロリーのエネルギーを摂取したと考えられました。人間の身長に相当する体長は試験開始4ヵ月以降はほとんど変化しませんでしたが、生殖器周辺の内臓脂肪量はその後も増加を続け、体重は12ヵ月頃まで増え続けました。また血液中のインシュリン濃度も週齢とともに徐々に上昇するなど、人間の肥満症によく見られる生理学的な変化が観察されました。
 そこでこれらの測定値に酵母の摂取がどのように影響するか調べたところ、メスでは試験開始2カ月頃より、オスでは4カ月頃より酵母を与えた群の体重増加が鈍化し、16カ月の試験期間平均で酵母を与えた群の平均体重は対照群に対して、メスでは9%、オスでは2.6%抑えられました(図表1)。メスにおいては2ヶ月目から4ヶ月目にかけての内臓脂肪量の急激な増加が酵母の摂取により軽減され、オスにおいても試験期間を通じて酵母摂取群の内臓脂肪量が低値で推移しました。
 酵母を与えたマウス群、対照群とも体長はほぼ同等でした。また、血液検査においても酵母摂取群に異常は認められなかったことから、酵母の摂取による体重増加の抑制は、成長阻害のような好ましくない作用によるものではなく、過剰な体脂肪蓄積の予防という健全な体重調節の結果であることが示唆されました。

 血液を調べたところ、特にメスにおいて酵母を摂取したマウスのインシュリン濃度は、対照のマウスよりも試験期間を通じて低く推移しました。(図表2) インシュリンは血液中の糖分や脂質を体細胞に取り込ませることで、血糖値や血液脂質を正常に保つ働きがある一方、肥満症やある種の糖尿病では高値となり、体脂肪の蓄積を加速させます。

 こうしたことから今回確認されたビール酵母の肥満予防効果には、血液中のインシュリン濃度を適正に保つ働きが関わっていることが示唆されました。さらにビール酵母を与えたマウスでは腸内の乳酸菌数が増加していることから、ビール酵母そのものだけでなく、増加した乳酸菌が体脂肪蓄積に影響した可能性も考えられます。

 乾燥ビール酵母は、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、食物繊維等の栄養素を豊富に含んでおり、バランスのとれた天然の栄養補給剤として用いられています。今回の研究ではさらに肥満の予防効果が確認できたことから、ビール酵母は飽食の現代において栄養分の過剰摂取に対する緩衝剤としても期待されます。アサヒビール(株)R&D本部未来技術研究所では、肥満予防効果の機能メカニズムのさらなる解明を行い、新たな用途への応用につなげていく考えです。

※ マウスは各群30匹で飼育をはじめ、1カ月毎に6匹を解剖し、データを採取した。

「酵母マンナンの抗アレルギー作用」について

 この研究では、ビール酵母の細胞壁から抽出した酵母マンナンの機能性を動物試験により調査し、アレルギーの原因となるIgE抗体の産生を抑え、優れた免疫機能改善作用を有することを確認しました。

 ビール酵母の外側を覆う細胞壁はグルカン、マンナンと呼ばれる食物繊維を豊富に含んでおり、酵母細胞壁については、免疫機能を高める作用、ミネラル吸収を高める作用、整腸作用、コレステロールの排泄を促進する作用等がこれまでに報告されています。今回の研究では、酵母細胞壁の持つ生理機能がどのような成分によるものかを明らかにするため、酵母細胞壁から酵母マンナンを抽出し、その機能性の検証を行ったものです。

 体内の免疫細胞は、アレルギーを抑えるTh1型と、アレルギーを引きおこすTh2型に大別されます。身体が繰り返し抗原(アレルゲン)にさらされると、Th2型の働きが強くなりIgEと呼ばれる抗体が体内でつくられ、アレルギーの症状を発症するようになります。そこで、マウスに酵母マンナンを与え、体内でのTh1型とTh2型のバランスやIgE抗体の産生にどのように影響があるかを調べました。

 動物試験では、マウスに、酵母マンナンを0.3%〜1%添加した飼料を2週間自由摂取させた後、アレルギー抗原の一種である卵白アルブミンを注射してアレルギーを誘発しました。そして、マウスから採血し検査をしたところ、酵母マンナンを含む飼料を与えたマウスでは、IgE抗体の濃度が25〜50%低くなることがわかりました。(図表3)
 さらに、マウスの脾臓からリンパ球を採取して、Th1型に特有な分泌物(サイトカイン)であるインターフェロンガンマーγと、Th2型に特有なインターロイキン4の産生量を測定したところ、酵母マンナンの摂取量に依存して、インターフェロンγの産出が増強され、逆にインターロイキン4の産出が抑制されたことがわかりました。(図表4)

 この試験結果より、酵母マンナンは、経口摂取により、Th1型の免疫細胞の働きを強める一方、Th2型細胞の働きを抑え、アレルギー症状の原因となるIgEの産出を抑制することが確認できました。したがって、酵母マンナンは、免疫機能自体を弱めることなく、過敏な免疫反応であるアレルギー症状の発症を抑えるという、優れた抗アレルギー作用を持つことが分かりました。

「酵母マンナンのミネラル吸収促進作用」について

 これまでのアサヒビール(株)による研究で、動物試験において、ビール酵母細胞壁がカルシウム、鉄などのミネラルの吸収を促進することが確認されていましたが、今回の研究では、酵母細胞壁中のミネラル吸収促進に、特に酵母マンナンが作用していることを確認しました。

 試験では、酵母マンナン、酵母細胞壁をそれぞれ5%ずつ添加した飼料をつくり、対照の飼料とともにラットに14日間、自由摂取させ、最後の4日間に摂取した飼料と排泄物に含まれるミネラル量を測定し、各群を比較することで、各素材のミネラルの吸収に及ぼす影響を調査しました。
その結果、酵母マンナン、細胞壁を添加した飼料を摂取した群のマウスでは、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛の吸収が図表5のように促進されました。さらに、その活性は酵母マンナンが細胞壁を上回っていました。
また、酵母マンナンの飼料への添加量を1%、2%もしくは5%にして、同様にラットで試験を行ったところ、酵母マンナンの飼料への添加量に依存してミネラルの吸収が促進される結果となりました。


 これまでのビール酵母全般にわたる栄養面、機能面での研究に加え、今回の酵母マンナンについての研究のような、酵母の特定成分の機能研究により、各成分がそれぞれに特徴的な有効機能を有していることが分かってきました。
 酵母マンナンは、可溶性のため、様々な形態の飲食品原料として使用することが可能です。今回の2つの研究で、動物試験レベルで、経口摂取による、優れた「抗アレルギー作用」「ミネラル吸収作用」が確認でき、今後、こうした作用をはじめとする幅広い生理機能を有する食品素材としての応用が期待されます。


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