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平成15年2月19日

「“ホップ・ポリフェノール”が、 病原性大腸菌O-157の
ベロ毒素を中和・無毒化」

アサヒビール(株)R&D本部−千葉大学大学院医学研究院の共同研究で、
有効性を確認 第76回日本細菌学会総会(熊本市)で発表
アサヒビール株式会社

 アサヒビール株式会社(本社 東京、社長 池田弘一)が、ビール原料のひとつであるホップから抽出される天然素材「ホップ・ポリフェノール」の機能性研究の一環として、千葉大学大学院医学研究院・野田公俊教授(病原分子制御学)のグループと共同で行っていた研究により、ホップ・ポリフェノールが、腸管出血性大腸菌O-157が発生するベロ毒素の毒性を強力に中和、無毒化する効果を有することが確認できました。この研究成果は、本年4月1日〜3日に熊本県熊本市で開催される「第76回日本細菌学会総会」内のシンポジウム「バクテリアの病原因子の制御と応用」においてアサヒビール(株)R&D本部未来技術研究所と野田公俊教授により発表されます。

 腸管出血性大腸菌O-157は、日本においても1996年に大阪府堺市を中心に起きた集団感染・発症事例以降、毎年のように集団感染発生が報告されており、出血性大腸炎をはじめとする激しい症状を引き起こす原因菌として、その感染の防止や発症した場合の有効な治療の確立が社会的な課題となっています。O-157感染症については、これまでもその治療法については様々な研究が進められていますが、菌増殖を抑える為の感染患者への抗生物質の投与に対しO-157はしばしば多量のベロ毒素を患者の体内で放出し、その容態を悪化させることが、治療におけるひとつの課題ともされています。また、抗生物質の安易な多用は、抗生物質の効かない、新たな薬物耐性菌の出現を促します。

 アサヒビール(株)R&D本部と千葉大学大学院の研究チームはこうした問題の解決法として、O-157を積極的に殺すのではなく、O-157の産生するベロ毒素を無毒化する物質の探索を行ってきました。様々な天然物について探索を行った結果、ビールの原料として知られるホップから抽出した物質に、ベロ毒素の活性を強力に阻害する物質が存在することを見出しました。さらに物質の特定を続けた結果、緑茶などに含まれる一般的なポリフェノールとは異なる、ホップに特徴的なポリフェノールが有効性をもつことが明らかとなったものです。

 今回の研究で、ベロ毒素の毒性を中和する効果は、試験管レベルのほか、動物実験レベルでも確認することができました。天然物質であるホップ・ポリフェノール自体には動物に対する毒性や、抗生物質など他の薬物の作用への影響など、副作用は現在のところ見出されておらず、ホップ・ポリフェノールに極めて強いベロ毒素の毒性中和効果があることを確認できたことにより、O-157感染症の治療において、ホップ・ポリフェノールと抗生物質との組み合わせ投与などによる、新たな治療法の確立への期待がもたれます。アサヒビール(株)R&D本部と千葉大学の研究チームでは、さらにホップ・ポリフェノールの実用化研究を進め臨床への応用を目指します。

 アサヒビール・グループでは、ホップ・ポリフェノールをはじめとして、酒類事業における原料・素材研究から派生した、各種天然素材が有するの健康への機能解明、さらに機能性素材としての応用を目指した研究活動を進めています。
 ホップ・ポリフェノールもこれらの素材のひとつとして、機能性の研究を進めています。今回発表するO-157ベロ毒素の毒性中和作用のほか、同素材については、これまでにも「虫歯菌による歯垢形成抑制作用」(特許登録第3254553号)を確認しています。また、林檎から抽出したリンゴ・ポリフェノールについても、先般弘前大学との共同研究で発表した「抗腫瘍効果」をはじめ多様な機能性に注目し、あわせて研究を進めています。

 こうした天然素材の機能性研究、応用研究を、新たな製品提案につなげ、「食」を通じたお客様の健康の増進に寄与していくことを目指します。

研究概要

 アサヒビール(株)R&D本部と千葉大学院の研究チームは、今回の研究においてホップ・ポリフェノールに強いO-157ベロ毒素の毒性中和効果があることを、試験管レベルのほか、動物実験レベルで確認しました。

 ウサギ(※)を用いた動物実験では、ウサギの小腸を6〜8cm毎に結さつし、袋状のループを作成した上で、個々の袋部に、ベロ毒素100ng(1ナノグラムng=10億分の1g)とホップ・ポリフェノール溶液を濃度を変えて注入し、24時間後の各腸管ループ内の液体貯留量を測定しました。添加するホップ・ポリフェノール量は、1ループ当りで、0〜100μg(1マイクログラムμg=100万分の1g)としました。

 O-157感染症では、O-157が発するベロ毒素によって、腸壁を通して血液他の体液が腸内に流出することで、出血性の激しい下痢症状を引き起こします。今回の実験では、ベロ毒素によって引き起こされる出血性の下痢症に近い状況をウサギ腸内で再現し、同時に添加するホップ・ポリフェノール量ごとに、24時間後の腸管ループ内の溜まった体液量を測定し、比較したものです。

 24時間後の腸内ループ内に貯留した液体量(ml/cm)と、ホップ・ポリフェノールの添加量(1ループ当り、μg)とを比較した結果が以下の図表です。ホップ・ポリフェノールの添加により濃度依存的に液体貯留が軽減していることがわかり、20μg、100μgを添加したループでは、液体貯留量は極めて低いレベルに抑えられています。
 これにより、ホップ・ポリフェノールによりベロ毒素の液体貯留毒性が中和されていることが確認されました。




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