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研究を積み重ね、自信をもって生み出した香りと味わい。

希少紫芋「暁紫(アケムラサキ)」で芋焼酎をつくる研究は、7年前から始まっていました。本格芋焼酎[薩摩 こく紫]を生み出した、日々の研究開発をご紹介します。
  • アサヒビール株式会社 醸造研究所 ワイン&スピリッツ技術部 松木理恵
  • ※所属部署は2011年8月現在のものです。
麹づくり、仕込み、蒸溜。一人で焼酎づくりのすべてを行う日々。
商品について伺う前に、「研究所」というところでの日常業務をおしえてください。
松木 ここでは、大きく「製造“技術”の開発」と「“中味”の開発」に分かれますが、私は、中味(焼酎)の開発。基本は、焼酎づくりの最初から最後までを日々、行っています。器具や装置、小さな設備を使って、麹をつくるところから、原料を蒸して、発酵させて、蒸溜して、貯蔵して、味を確認して。例えば、家庭用の梅酒びんも大事な仕事道具。これで芋焼酎のもろみを発酵させています。サンプルの結果が良い場合は、さらに大きなスケールで試作して、マーケティング担当者に提案します。
なるほど、松木さんご自身が焼酎蔵そのものみたいですね。
研究所にこもって黙々という感じですか?
松木 まあ、そうしてつくり続けるときもありますけど、その他にも酵母や麹菌の研究をしたり、原料を探しに行ったりもしています。さつま芋などの原料メーカーさんを訪問したり、勉強会に参加したりして、いろいろな品種を教えていただいています。原料がすべて国産なので、畑から見に行けるというのがいいですね。
香りや味わいを引き出し、判断する役割もされていますが、
焼酎のテイスティングについて気をつけていることはありますか?
松木 焼酎は、主に「口に含む前の香り」、「口に含んで最初の香り」、「口にあるときの香り・味」、「無くなったときの残り香」を確認します。いろいろな飲み方ができるお酒なのでロック、水割り、お湯割り、すべて試して、ときにはどんなおつまみと合うのかもテストしますよ。実際の飲用シーンに近い官能検査ですね。また、官能検査の際には焼酎の香りに影響が出ないよう、香りの強いものはできるだけ身につけないように心掛けています。
[暁紫(アケムラサキ)]を追いかけ、原酒づくりを探求。
では、「暁紫(アケムラサキ)」という芋に取り組んだのはいつ頃から?
松木 私の前任者が、新しい芋の発掘・研究を続けていたこともあり、農林水産省に品種登録される(平成17年度)以前から着目していました。6〜7年前になりますね。当時、既存の紫芋よりアントシアニン含有量が多いという話を聞いて、いつ品種として登録されるのか、ずっと追いかけていました。
良い芋焼酎ができそうだという期待があったのでしょうか?
松木 まず、香りや味の前に「醸造適性」、芋焼酎の原料として使用できるのかどうかが問題。芋によっては、蒸すとべちゃべちゃになって使えない、発酵に時間がかかる、発酵しても取れるアルコールが少ない、といったことで候補から落ちていくものもあります。
その点、「暁紫(アケムラサキ)」は大丈夫だったわけですね。
松木 はい、「暁紫」の醸造適性は優れていましたので、発酵が順調に進んで、アルコールもしっかり取れました。たくさんの芋を試験していく中で、原酒に個性が出やすかったのは紫芋。その中でも、色の濃い方が個性的なものができていたんですが、「暁紫」の試験原酒には芋らしい甘み、ふくらみ、力強さがダントツにありました。研究所では、そこからさらに「暁紫」の良さを追求していこうと。
中央の最も色の濃い芋が「暁紫」
そこから苦労されたことは?
松木 研究所での試験製造の後、実際の工場でスケールアップした試験製造を行いますが、2008年、最初の「暁紫」原酒製造のときは特に大変でした。まず、原酒を"工場でつくる量"の芋がない。契約農家に芋の作付量・時期を打診することから始まって、工場の生産ライン調整をお願いしたり、畑から工場への運搬車両を手配したり、すべて一人で行ったものですから。発売できるかどうか分からないという状態の中で、工場を稼動させる責任も感じていました。
試飲モニターテストの反応を見て、確信した。
[薩摩 こく紫]は、「暁紫(アケムラサキ)」を原料の一部として使用していますね。
松木 2008年までは、「暁紫」100%の限定生産・プレミアム焼酎として開発を続けていましたが、この「暁紫」の良さをもっと多くの人に愉しんでいただきたいという思いから“限定・プレミアム”ではなく、“定番の芋焼酎”をつくるということになりました。「暁紫」を原料の一部に使用し、その特徴を十分に引き出すことで「飲み飽きず長く愉しめる芋焼酎」を目指すことにしました。
「黄金千貫」との組み合わせを探っていくのも難しかったのでは?
松木 「暁紫」100%原酒、「黄金千貫」との組み合わせ、ともに100以上のサンプルをつくりましたが、最初の試作品を社内に提出するときには「これはイケるかも!?」という自信がありました。結果、手応えのある評価だったので、マーケティング担当者の意見を反映させながら最初の試作をベースにつくり込んでいきました。やはり、「暁紫」自体を長く研究していたので、その特性の活かし方、基礎がしっかりしていたと思います。
開発途中、社外でモニターテストをされたそうですが、その反応は?
松木 私は、参加される皆さんの言葉や文章での感想・ご意見はもちろんですが、それ以上に、飲んでいるときの表情やグラスの減り具合に注目します。毎回、モニターテストに参加するときは、自信を持って提案している香味を皆さんがどのように感じられるかドキドキしているのですが、このときは反応を見て「よし、来た!」と確信しましたね。同時に「自分もお客様と同じ感覚を持てていたんだ!」ということが嬉しく、その先の自信にもつながりました。
   
いろいろな課題を乗り越えた自信作ということがうかがえますが、
松木さん個人の[薩摩 こく紫]の飲み方は?
また、松木さんにとって[薩摩 こく紫]を一言で表わすと?
松木 ロックも美味しいんですが、個人的には水割りです。ボディがしっかりしているので水で割っても負けずに、より飲みやすくなりますから。
そして、[薩摩 こく紫]を一言で表すなら・・・、私は野球が好きなので、[薩摩 こく紫]は「"ドラフト1位"で入った新人」。今年は、ぜひ新人王、そしていずれはMVPを取って、さらには世界へ羽ばたいてくれ!という気持ちですね。
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