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[カンパネラ]ビジネスパーソンにひらめきの鐘を

カンパネラとは

ビジネス書では語られない「職場人間学」

【職場人間学】「論理的に教えるってどういうことですか?」 「感性でできてしまう」状態から進歩しなければ、あなたの部下は伸びないまま

文:田代真人 写真:石塚龍彦

05.07.2015

職場の問題は酒場で解決できると信じるコンサルタント・田代真人氏。相談者は、うつ病になり欠勤しているメンバーを抱えた社員2人。話題は教え方に及ぶ。「できる人」が陥る罠を鋭く指摘する田代氏に、2人は…。

あらゆる問題は酒場で解決できる。30年以上のビジネス生活で得た実感だ。別に酒に強いわけでもない。ただ酒場のあの雰囲気は人を楽観的にする。一人で飲んでもいいが、二人酒もまたいい。

僕の仕事はコンサルティング。ありがたいことに営業することなく、さまざまな業種からお仕事の依頼をいただく。しかし悩みの種は、というほどの悩みでもないが、産業カウンセラーの資格を持っているので、経営者や部課長はもとより新入社員からも相談されることが多い。実は本業よりもこちらに取られる時間が多いのだ。

前回からの続き。渋谷の沖縄料理店を出た僕は、放送局の向かいの大通りから1本裏通りの緑道を、駅に向かって歩き始めた。雑貨店チェーンに努める吉川良介と部下の舘野由美子もいっしょだ。

「田代さんはあの店はよく行くんですか?」

「そうだね。実を言うとあの店は、元は僕が友人と立ち上げたカフェバーだったんだよね」

「えっ! そうなんですか!」

吉川が驚いて訊く。

「カクテルを作れるバーテンダーを雇っていたんだけど、実際に働いてもらったら、なんだか銀座の高級バーに立つバーテンダーのような出で立ちでね。なんとかカジュアルにやってもらおうとしたんだけど、結局、辞めちゃった。まぁ、これはそもそもの価値観の違いだから仕方なかったけどね。

でも会社の新人はそうじゃない。会社のスタッフとして、こちらが期待することをまっとうしてくれないと困るからね」

緑道を歩きながら、1軒の立ち飲み屋を見つけた。酒屋に隣接したお店で、その酒屋が経営しているらしい。けっこうな賑わいは外からも見えていたが、僕らはトビラを開け、目に入ってきたカウンターの空いた場所に向かう。

「いらっしゃい」

二人のおばさんが切り盛りしているようだ。僕らは壁に貼られたメニューを見上げる。

「おっ! 話題の竹鶴ハイボールがある! それにしようかな」と僕が言うと、吉川も「僕もそれがいいです!」。

日本で始めて本格ウイスキーを作った竹鶴政孝のテレビドラマが影響して全国的に有名になってしまったウイスキー「竹鶴」。ソーダで割っても旨いので最近の僕のお気に入りだ。

「私は赤ワインをいただきます」

舘野はさっきの沖縄料理屋ではビールしか飲んでいなかったので口直しがしたかったのだろう。

「すみません。竹鶴ハイボール2つと赤ワイン1つ!」

「は〜い」と威勢のいい返事。すぐにハイボールの缶と氷入りのグラスが運ばれてきた。酒屋経営の立ち飲み屋ならでは、と言ったところか。

「どうしてできないの?」と思わず言ってしまう人へ

「吉川さん、今度、新しい人が来たら、やっぱり私が教えるんですよね?」

「う〜ん。そうだなぁ。僕も大枠は教えるけど、現場の作業は舘野さんにお願いしなきゃいけないかな」

「また、体育会系になってしまったらどうしましょうか、田代さん」

「まず、仕事を細かく分けて、量を調整しながら新人にやらせてみるところから始めたらいいんじゃないかな」

ここで吉川が口を挟む。

「舘野さんはなんでも良くできるんですよね。僕がお願いしたこともやり方なんて教えてないのにできちゃうんですよね」

「いまはだいたいのことはググれば、やり方が検索できるのでできますよね」と舘野が返す。

たしかに最近はグーグルで検索さえすれば、たいがいのことは方法が懇切丁寧に載っているので、そのとおりにやればできる。しかしまだそういうクセがついていない人はなんでも他人に訊いてしまう。

また、ウェブサイトを見てもできない人もいる。料理書を見ながら料理してもうまくできない人がいるのと同じことだ。

「舘野さんは優秀なんだね。だけど優秀な体育系の人ほどやりがちなことがあるんだ。それは、自分ができてしまうのでできない人を見るとなぜできないのかがわからないということに起因する。

ある有名なゴルファーの話なんだけどね。彼は小さなときからなんでもできたんだ。才能なんだろうね。でもそんな彼は人に教えることができないというんだよ。なぜかと言うと、自分は人に教えられてできたわけじゃなく、自分でこうすればいいんだと思ってやってしまう。それでできるんだよ。だから、逆に人に教える立場だとどうやって教えていいのか、教え方がわからないそうなんだ。だからできない人を見ると『どうしてできないの』と言ってしまう」

「あー私が後輩に言っていたことだ」

赤ワインを置いて舘野が呟いた。

「舘野さんもそうだったか。論理的に教えるというよりも感性でやってしまえるから、論理的に教えられないんだよね」

「論理的に教えるってどういうことですか?」

こちらのコンテンツは日経BP社とアサヒビールの共同運営メディア「カンパネラ」より転載しております。

転載元URL:http://business.nikkeibp.co.jp/article/campanella/20150424/280383/

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