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[カンパネラ]ビジネスパーソンにひらめきの鐘を

カンパネラとは

ビジネス書では語られない「職場人間学」

【職場人間学】「やりたいことがわからない」若者がすべきこと 資格取得もいい、だが安易に走るな

文:田代真人 写真:石塚龍彦

01.29.2015

職場の問題は酒場で解決できると信じるコンサルタント・田代真人氏。相談者は入社2年目の若手社員。「戦略的に働く」ことを提案する田代氏の意図とは……?

あらゆる問題は酒場で解決できる。30年以上のビジネス生活で得た実感だ。別に酒に強いわけでもない。ただ酒場のあの雰囲気は人を楽観的にする。一人で飲んでもいいが、二人酒もまたいい。

僕の仕事はコンサルティング。ありがたいことに営業することなく、さまざまな業種からお仕事の依頼をいただく。しかし悩みの種は……というほどの悩みでもないが、産業カウンセラーの資格を持っているので、経営者や部課長はもとより新入社員からも相談されることが多い。実は、本業よりもこちらに取られる時間が多いのだ。

薬品商社の新年会は、まだ続いている(前回を参照)。女性たちは固まって女子会の様相を呈している。まだまだ話は尽きないようだ。入社3年目の奥野と同僚の林、新入社員の廣田は、僕の話を神妙に聞いている。彼らはクライアント企業の社員ではあるものの、僕にとってはかわいい人生の後輩でもある。

僕はお湯割りをすすりながら話す。お湯割りは熱すぎることもなくいい塩梅(あんばい)だ。

お湯割りは基本、焼酎が6、お湯は4。25度の焼酎だとアルコール分15%となり日本酒やワインと同じ度数になるため、呑みやすい。これが逆転すると薄いし熱すぎるお湯割りになる。

先にグラスに注ぐのはお湯だ。そのほうがグラスが温まり、冷めにくいお湯割りになる。カフェでカップを温めてコーヒーを入れてくれる店があるがそれと同じだ。

ポータブルスキルを鍛えよう

さて、「職歴欄に書ける仕事を1年の目標にしろ」という僕のアドバイスは、彼らにはけっこうハードルが高いようだ。ならば、仕事と並行してできること、例えばTOEICなどに挑戦するほうがやりやすい。当然、向き不向きはあるだろうが、時間を確保して集中すれば叶(かな)えられる。

「林くんは、まずTOEIC800点を目指すほうが現実的かもしれないね。といってもチャレンジングではある。でも仕事で職歴に加えられる成果を出すには、運も必要になってくるから、それよりはいいかな」

「運ですか」

「そう。運の話は、またあとでしよう。奥野くんは?」

「正直言ってあまり考えたことはなかったんですよ。仕事以外は。でも田代さんがおっしゃるのは最近よく言われる『ポータブルスキル』ということも意味してますよね?」

「そうだね。どこに行っても使える能力、つまり自分の武器となり得る能力でなければ、履歴書に書いても意味がないよね。そういう意味では英語が手っ取り早い」

「英語も必要だと思うのですが、ちょっと苦手で……。何かほかに資格を取るというのはどうでしょうか」

「もちろんそれもいいと思うよ。でもね。資格といってもいろいろあるよね。何を選ぶかが重要なんだよね」

資格ビジネスという言葉もあるように、資格は日本に1000以上もある。また、数年前から「○○検定」という試験がはやっている。こちらは資格というより趣味の領域で、単に自己満足の尺度を提供しているにすぎない。ただ運営事務局は、検定料と教科書販売で当たればおいしいビジネスになり得るので、よくわからないような検定まで現れる。

「そうですよね。先日お会いした方は名刺の裏にぎっしりと小さな文字で資格名を書いていて、聞くといま全部で70くらいの資格を保持しているそうです。よく見ると○○検定ってのも印刷されていて、ちょっと笑ってしまったのですが……」と林。

「そういう人ってサラリーマンじゃないでしょ?」

「たしか、ご自身で会社を経営なさっていた方でした」

「そうじゃなきゃ自分の名刺に入れないよね。でもときには会社の名刺とは別に名刺を作って配っている人もいるなぁ。まさしく自己満足で、結局、周りの人に、すごいですね! と言ってほしいだけだったりするわけだよ」

「その方も当面の目標は100個取得だと言っていました」

林が笑いながらそう言うとほかの3人も苦笑する。そして奥野が尋ねる。

「田代さんお勧めの資格ってあるんですか?」

「まぁ、端的に言って“食える資格”ってことかなぁ。つまり稼げるということね。それには2つの捉え方がある。一つは、転職しやすい資格。そしてもう一つは独立できる資格だね。独立ということは、その資格を持つ人しか開業できないもの。例えば医者だってそうだし、弁護士だってそう」

「それって、そもそもいまからじゃ無理ですよね?」

「そう断定はできないけど、難しいことはたしかだね」

「僕は経済学部だったから友人で公認会計士になった人もいましたけど、猛烈に勉強していた印象がありますよ」

「公認会計士も働きながら取るにはけっこう大変だよね。でも税理士なら取れるんじゃないの? がんばり次第では」

「たしかに。税理士は科目合格制だから1科目ずつ取得できますしね」

税理士試験において受験者は一度に5科目を受験する必要はなく、1科目ずつ受験してもよいという科目合格制が採られている。合格した科目は有効期限なく合格と扱われるので、自分のペースで受験し5科目合格すれば何年後でも晴れて税理士になることができる。実際の税理士登録には合格後2年間の実務経験が必要だが、科目合格制のため、比較的社会人がチャレンジしやすい資格試験となっている。

「税理士試験で合格した科目は1科目でも履歴書に書けるから、1年に1科目の合格を目指せば、5年後には資格の取得ができるね」

「でも田代さん、そうは言っても税理士だってハードル高いですし、そもそも食える資格って何ですか?」

「そうだねぇ。いわゆる士業というものかな。しかも弁護士、税理士など国家資格でないと履歴書に書いても評価されないことが多い。国家資格はいま293種あるんだけど、その中でも食えるというか稼げる資格は限られている。最近は弁護士だって食えないと言われているからねぇ」

このごろの職場の宴会は静かなものだ。聞くと、最初の挨拶は副部長、締めの挨拶は部長。その間の時間は各自適当に2時間呑んでいるだけだという。まぁ、これでも日頃オフィスで話す会話とは違って、それなりに親睦がはかれるのだろう。僕たちも“裏の席”をいいことに、ほかの人そっちのけで“相談コーナー”を開いている。

「じゃあ、転職しやすい資格の取得を目指したほうがいいんですかね?」

いきなり廣田が口を開いた。廣田もいまどきの新入社員なので、派手な酒の飲み方ではない。ウーロンハイをちびちびと口につけながら僕らの話にうなずいていたが、やはり興味があるのだろう。僕は応えた。

「英語はまさに転職しやすい資格というか、基準値に達していれば評価される。とはいえ、結局は自分がやりたい仕事が英語を必要としているのかどうかを見極めないと、取得の時間はむしろ時間の無駄とも言えるよね。伝統工芸の職人や料理人になりたいのであれば、早く修行を始めたほうがいいわけだし。

でも士業であっても食えないのであれば、その資格を取って独立を考えるよりも、いまの時代はむしろその資格を持っていることをアピールして、転職したほうが現実的かもしれないね。税理士資格は経理部署の求人には有効だろうし」

こちらのコンテンツは日経BP社とアサヒビールの共同運営メディア「カンパネラ」より転載しております。

転載元URL:http://business.nikkeibp.co.jp/article/campanella/20150126/276689/

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