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[カンパネラ]ビジネスパーソンにひらめきの鐘を

カンパネラとは

ビジネス書では語られない「職場人間学」

【職場人間学】目標は、客観的に評価できなければ意味がない 自己満足に終わってはもったいない、履歴書に書ける目標を

文:田代真人 写真:石塚龍彦

01.15.2015

職場の問題は酒場で解決できると信じるコンサルタント・田代真人氏。相談者は入社2年目の若手社員。「戦略的に働く」ことを提案する田代氏の意図とは……?

あらゆる問題は酒場で解決できる。30年以上のビジネス生活で得た実感だ。別に酒に強いわけでもない。ただ酒場のあの雰囲気は人を楽観的にする。一人で飲んでもいいが、二人酒もまたいい。

僕の仕事はコンサルティング。ありがたいことに営業することなく、様々な業種からお仕事の依頼をいただく。しかし悩みの種は、というほどの悩みでもないが、産業カウンセラーの資格を持っているので、経営者や部課長はもとより新入社員からも相談されることが多い。実は本業よりもこちらに取られる時間が多いのだ。さて、今日の相談は……?

「なんだか毎日仕事に追われて疲弊して……」

今夜はコンサルティングをしている薬品商社の新年会だ。場所は渋谷。昨今、駅前のスクランブル交差点が世界的な観光スポットとして有名になっている。基本的に若者の街なので、どの店も比較的リーズナブルだ。僕は前の会議が長引き、遅れてビルの6階にある居酒屋に向かった。

店に入り、席に通される。すでに乾杯は終わっているようだ。空席を探す僕。

「田代さん、こっちですよ!」

手招きしているのは、入社3年目の奥野利彦だ。みんなの席と離れたところから手を振っている。そちらに向かうと4人掛けのボックス席。奥野と同僚の林がしっぽりとグラスを傾けている。

「どうしたの?」

「いや、幹事の廣田がちょっとヘマをやっちゃって……。電話で予約するとき、4人だけ別の席になるけど、みんなの席の後ろだから、と言われたんで予約したんですが、来てみたら、その4人席がここで」

「たしかに後ろだけど、壁を隔てて後ろだったってわけね。まあ、うそではないなぁ」

そう言って僕は苦笑い。

廣田は、奥野たちより一つ年下で、後輩に当たる。奥野たちは一緒に幹事を引き受けたらしいのだが、実は廣田に任せっきりにしているようだ。

「で、僕らがここに座ったってわけです。やはり宴席の予約をするときは幹事は前もって行って席を確認しなきゃいけませんねぇ。ただ、僕は実は宴席が苦手なので、むしろここのほうがよかったというか……。

それで、田代さんと話もしたかったのでワザとこの席を空けておいたんです。すみません」

「いや、別にいいよ。僕も騒ぐ歳でもないし、ゆっくり呑みたいんで」

この店は鶏料理がメインの居酒屋らしい。目の前のガスコンロではすでに水炊き鍋に火がつけられている。テーブルにはビールのピッチャー。林がグラスを僕に渡して、ビールを注ぐ。

「かんぱい〜! 今年もよろしくお願いします〜!」

「ところで僕に話って何?」

「いきなりですか、田代さん」そう言って笑う奥野。

「いや、実は今年こそステップアップしようかと思って」

「ステップアップって何?」

「人間的に成長しなきゃいけないなぁと思うんですよ。林と呑んでもいつもそんな話になるんです」

「具体的には? 仕事をもっとがんばるとか?」

「たしかにそれも大切なんですが、なんだか毎日仕事に追われて疲弊して、結局1年が何となく過ぎていく。これがもう3年も続いているんですよ」

「で、このままじゃいけないと?」

「そうなんです。でもどうやっていいのか、いま一つピンと来なくて、田代さんなら何かヒントをくれるんじゃないかって林といつも話していたんですよ」

新年会が何だか相談センターになってしまったようだ。4人席の残り一つの席は新人の廣田が落ち着くヒマもなくあちこちに行っている。幹事は大変だ。奥野と林は幹事の廣田を気遣うことなく、突き出しをつまんでいる。まぁ、先輩の特権なんだろう。

「ヒントねぇ……。君たち新年明けて、今年はこれをやり遂げる! っていうような目標はないの?」

「う〜ん。なんか勉強ですかね。英語をがんばってみようかとも思うんですけどね」と言うのは林。

「奥野さんは?」

「僕は去年からゴルフを始めたので100を切りたいなと」

「おいおい、仕事じゃないのか! ところで2人とも将来転職なんか考えてるの?」

「えっ、会社の宴会でそんなこと質問しますか、田代さん!」

「大丈夫でしょ。席離れてるし……」

「ずっといるっていうのはあまり考えていません。だって会社ってよほどの大手じゃないと、いつどうなるかわかりませんよね、いまの時代」

「だったらゴルフなんて言ってる場合じゃないでしょ。林さんも英語をがんばるにしても、ただがんばるじゃダメなんだよね」

「TOEIC受けてみようかと思っています」

「うん、それはいいんじゃない。でもちゃんと目標を設定しなきゃね」

「あまり自信ないんですよね」

「まだ受けたことないの?」

「はい」

「であれば、まず受ける。そして自分のレベルを知るってことだね。でも、今がどんなレベルであったとしても、目標は800点にしようよ」

「えっ! そんなに簡単じゃないですよね。少しずつステップアップすればいいんじゃないですか?」

「いやいや、そうじゃないんだよ。英語の勉強は自分のためなんだけど、自己満足でやってもダメなんだよ」

奥野がビールを注ごうとしているが、それを断って僕は一杯だけスーパードライ エクストラゴールドを頼んだ。キンキンに冷えたビールが飲みたかったのだ。そろそろ水炊きもいい具合に火が通ってきている。

僕は鶏と野菜を器に取りながら話を続ける。

こちらのコンテンツは日経BP社とアサヒビールの共同運営メディア「カンパネラ」より転載しております。

転載元URL:http://business.nikkeibp.co.jp/article/campanella/20150108/275972/

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