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[カンパネラ]ビジネスパーソンにひらめきの鐘を

カンパネラとは

ビジネス書では語られない「職場人間学」

【職場人間学】1999年からコミュニケーションが変わった 上司の仕事は部下育成、ならば部下に合わせて育成すべき

文:田代 真人

10.30.2014

職場の問題は酒場で解決できると信じるコンサルタント・田代真人氏。相談者はゆとり世代の扱いに悩む40代。「モバイル・ネイティブ」の感覚に合わせるべきと説く田代氏に、相談者は…?

職場の問題はすべて酒場で解決できると信じているコンサルタント田代真人氏。日夜さまざまな相談が寄せられるが、問題解決の場は酒場で、と決めている。前回に続く今回は引き続き、ゆとり世代とのコミュニケーションに悩む40代の男性、太田弘志氏からの相談である。太田氏は着物販売会社で営業課長を務めている。

田代氏によれば、若い世代の特殊性は、携帯電話の普及と大いに関係がある。「若い人々のコミュニケーションの仕方は大きく変わってきているので、それに対応しなければならない」という田代氏の指摘に、はたして相談者は納得できるのか?

「1999年って何の年かご存じですか?」

あらゆる問題は酒場で解決できる。僕は別に酒に強いわけでもない。ただ酒場のあの雰囲気は人を楽観的にする。一人で飲んでもいいが、二人酒もまたいい。

僕の仕事はコンサルティング。ありがたいことに営業することなく、さまざまな業種からお仕事の依頼をいただく。しかし悩みの種は、産業カウンセラーの資格を持っているので、経営者や部課長はもとより、新入社員からも相談されることが多いことである……。

着物販売会社で営業課長をしている太田氏との話は続く。

「太田さん、1999年って何の年かご存じですか?」

「えーっ、……オリンピックでもないし、ジャイアント馬場が死んだ年ですよね?」

「いや、それは関係なく(笑)」

「すみません。プロレス好きなんで」

「1999年2月22日にNTTドコモが『iモード』のサービスを開始したんですよ。そこから携帯電話をインターネットにつなげるという行為が始まったというわけです。携帯メールの文化はここから始まった、とも言えるんですよね。世界で最初かな」

「私が30歳のときですね」

「そうですか。現在主流のiPhoneも、アップル創業者のスティーブ・ジョブズが、このiモードを相当研究して発表したと言われているので、大きく影響を受けているのは間違いないんですよ。ほとんどのスマートフォン・サービスはiPhoneの影響を受けて作られているので、実はこの種のサービスは日本から始まったと言っても過言ではないんですよね」

「へぇ〜。それは知りませんでした。たしかに、私もそれまでのパソコンでのメールから携帯電話でメールができるようになって、生活スタイルが変わりました。どこでも仕事ができる。飲み屋に入っても、こうやってメールのチェックができるのは画期的ですらありましたね。その分仕事に追われる気持ちにもなってしまったのですが……(笑)」

「そうですね。僕も一緒です。

で、その時、1999年にiモード対応の携帯電話を使っていた高校生や大学生、たとえばそのとき18歳だった人は、いま33歳。中学1年生、13歳だった人は、いま28歳になります。その年齢以下の人たちっていうのは、携帯でメールを打つのが当たり前と思って育ってきているんですよ。

僕は昔からその年代の人たちを『モバイル・ネイティブ』と呼んでいたのですが、彼ら彼女らは、携帯電話で1000文字くらい簡単に文字が打てるんですね」

「僕なんか、携帯電話で文字を打つのが面倒くさくて、すぐ電話しちゃうんですが」

「でもモバイル・ネイティブはそうじゃないんですよ。電話するくらいならメールしたほうが簡単で面倒くさくないと思っています」

ここで、ハムカツと同時に頼んでいた名物モツ煮がやってくる。本来ならばハムカツよりモツ煮が先だろうと言いたくなるところではあるけれど、まぁ、少々酔いがまわっていることもあり、それは良いとしよう。

写真:石塚 龍彦(冒頭の写真も同)

「ですよね。僕の部下なんか、休みを取るのも、お客さんのところへ直行するときもすべてメール1本で済ませてるんですよね。僕が新人の頃は、あり得なかったんですが……。

そういえば、先日長期のアルバイトを雇ったのですが、3日目に来ないので、心配していたら、“退職願”が送られてきましたよ。宛先は私の会社のメールアドレスで携帯からでしたね。

しかも件名が『退職願』、内容は『一身上の都合により……』なんていう、通常封筒に入れて会社に提出するものでした。これには参りましたね。苦笑するしかないというか。たしか20代半ばの子でしたが」

「それは、スマホの普及とかモバイル・ネイティブなど以前に、常識の問題だね(笑)。

まぁ、とはいえ、そのくらいにコミュニケーションとして、メールやLINEなどのソーシャルメディアによるメッセージでのやりとりが当たり前になってきているんだよ。だから逆に電話などのリアルタイム・コミュニケーションが苦手になってきている。

実際の会話も苦手でしょ。リアル・コミュニケーションが苦手。何か問われても、すぐに返答できないんだよね。返答できないから、会話に妙な間が空いて、そういう静かな空間が我慢できなくて、リアル・コミュニケーションを避けてしまう。会社内でもむしろチャットで会話したほうがいいって感じ。これの繰り返しだから、ちっともリアル・コミュニケーションがうまくならないわけです。

その延長で、リアルタイム・コミュニケーションの電話まで苦手になっている。その点、メールなど文字コミュニケーションは、返答のタイミングを自分で選べますからね」

「直接会って話をするリアル・コミュニケーションだけでなく、電話などでリアルタイムに会話するのが苦手というわけですね」

「太田さんはすぐ電話をかけると言ってましたが、いま人によっては30代以降の人も電話を避けるという人が多くなっていますね。電話は、相手の空間に突然飛び込んでいくので、それを避けるためらしいんです。仲のいい人ほど気を使って、ときには携帯ショートメールのSMSで、まず『いま電話してもいい?』と聞いてから電話するんですって」

「言われてみれば、そうですね。僕なんか会議のときにクライアントから電話がかかってきたら、一度出てから『申し訳ありません。いま会議中なのであとから折り返します』とわざわざ返事しています」

「それだったら電源切っておいたほうがまだいいですよね。先方も諦めますし。もし大事な電話が入る予定なら、自動応答にしておいて、着信電話番号を見て、出るかどうか判断するとか」

「確かにそうですね。会議中も電話に出るのが、何だか習慣になってしまっていて……」

「90年代、携帯電話の出始めの頃は、会議中に携帯電話の電源を切るのが“常識”で、いまのように電源を切るどころか、テーブルの上に携帯電話を置いたまま会議をするという場面は想像できませんでした。かく言う僕もそんな現状に慣れきってしまってますけどね(笑)」

「リアル・コミュニケーションが苦手なら、本来それを避けるのではなく、克服しなきゃならない。であれば、上司としてはリアル・コミュニケーションの場を多く作っていくしかないんですよね。

太田さんの社内の会議は活発ですか?」

「発言者がいつも決まっている感じですかねぇ」

「だと、発言しない人はいつも黙ったまま?」

「結果的に、そうなっていますね。時間もないので」

「その場で発言を求めてもできない人はできないので難しいですよね。でも、ずっとそのままでいいというわけでもないですよね。そういうときの“飲みニケーション”なんですよ。すでに死語ですが(笑)」

「さっきの話だと別に嫌いではないんですよね」

「そう。でもタイプによってさまざまだから、そのあたりは多少気を使わなければならない。部下に気を使うのも何だけど、部下を育てるのが上司の仕事の一つであれば、避けられない」

部下と過ごす酒の時間をうまく活用したいなら、ウイスキーや焼酎など、アルコールの量を自分で調整できる種類のものにするといい。薄めにしていけば自分の酔いを調整できるからだ。

さて、部下のタイプに応じた対処法の話は、次回に。

※本記事で登場する相談者の人物像、および相談のシチュエーションは、相談者本人を特定できないようアレンジしてあります。

田代 真人(たしろ・まさと)
編集者・ジャーナリスト。株式会社メディア・ナレッジ、株式会社マイ・カウンセラー代表。(社)日本産業カウンセラー協会認定産業カウンセラー。駒沢女子大学、桜美林大学非常勤講師。
1986年九州大学機械工学科卒業。その後、朝日新聞社、学習研究社、ダイヤモンド社と活躍の場を変え、ファッション女性誌からビジネス誌まで幅広く取材・編集。2007年メディアプロデュースを専業とする株式会社メディア・ナレッジを創業。同時に株式会社マイ・カウンセラーの代表就任。著書に『電子書籍元年』(インプレスジャパン)、構成作品に『もし小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』を読んだら』(日経BP社)がある。

こちらのコンテンツは日経BP社とアサヒビールの共同運営メディア「カンパネラ」より転載しております。

転載元URL:http://business.nikkeibp.co.jp/article/campanella/20141017/272696/

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