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[カンパネラ]ビジネスパーソンにひらめきの鐘を

カンパネラとは

ビジネス書では語られない「職場人間学」

【職場人間学】ゆとり世代は本当にお酒が嫌い? 「別に誘っても大丈夫」

文:田代 真人

10.09.2014

「あらゆる問題はすべて酒場で解決できる」が信条のコンサルタント・田代真人氏。今回の相談者はゆとり世代の扱いに苦慮している40代の男性だ。田代氏が提示する解決策とは……?

「あらゆる問題はすべて酒場で解決できる」が信条のコンサルタント・田代真人氏。日夜さまざまな相談が寄せられるが、問題解決の場は酒場で、と決めている。もちろん朝から呑むと使いものにならないので、日中の相談を溜め込んで、夕方から夜にかけて一気に解決に持ち込んでいると見られる。

今回の相談者はゆとり世代の扱いに苦慮しているらしい。そもそも「ゆとり世代は酒を飲まないのか!?」という命題からコミュニケーションの糸口を探ろうとしている相談者。はたして田代氏の解決策はどのようなものになるのだろうか?

「なんだか誘いにくくって」

あらゆる問題は酒場で解決できる。別にお酒に強いわけでもない。ただ酒場のあの雰囲気は人を楽観的にする。一人で飲んでもいいが、二人酒もまたいい。

僕の仕事はコンサルティング。ありがたいことに営業することなく、さまざまな業種からお仕事の依頼をいただく。しかし悩みの種は、産業カウンセラーの資格を持っているので、経営者や部課長はもとより新入社員からも幅広く相談されることが多いこと。実は本業よりもこちらに取られる時間が多いのだ……。

太田弘志氏、今年で45歳。着物販売会社で営業課長をしている。僕はマーケティング全般の相談にのっているのだが、今日は久しぶりに一杯やろうと彼から誘ってきた。いつも私が会社を出る時間は、忙しそうにしている彼。なかなかお酒に誘えないでいたのだが、珍しく今日は彼からのメールで時間を空けた。

おじさん二人だから別に気取ることはない。彼も会社の近くではないほうがいいというので、ときどき立ち寄る焼きトン屋さんで待ち合わせた。彼とサシで飲むのは初めてだ。

写真:石塚 龍彦(冒頭の写真も同)

着物販売会社の営業マンといっても常に着物を来ているわけではない。むしろいつも彼は地味といってもいいようなスーツを着ている。性格がおとなしめなのか、着るモノも冒険しない。今日もグレーのスーツに白いシャツ、薄い紺色のネクタイをしている。個人的には営業マンはもう少し派手目で元気があってもよいと思うのだが……。

ビジネスはうまくいっているらしい。しかしどうも部下との関係を気にしている様子がうかがえる。僕は、ハイボールをおかわりした。彼は相変わらず生ビールだ。僕が尋ねる。

「入社して半年も経とうとしているのに、新入社員の部下と飲みに行ったことがない、ということ?」

「そうなんですよ。誘いたいんですが、彼、いわゆるゆとり世代でしょ。なんだか誘いにくくって」

「でもお酒が飲めないというわけじゃないんでしょ?」

「そうですね。以前開いた歓迎会では飲んでたようなので。ただ甘そうなの飲んでましたね。女の子みたい、というと語弊があるかもしれませんが……」

ゆとり世代。諸説あるが、ゆとり教育を目指して、全面改正された学習指導要領で教育を受けた世代がこう言われる。年齢層で言えば、現在の20歳から27歳くらいが、ざっくりと「ゆとり世代」と呼ばれている。

「ゆとり世代と言っても千差万別だからねぇ。お酒を飲まない人もいれば飲む人もいる。普通に誘ってみればいいのでは?」

「以前、ちょっと誘ってみたのですが、なにか用事があるとかなにかで、やんわりと断られちゃったんですよね」

「あーそういう意味じゃ、はっきり自分の意志を伝える人が増えたよね。ずるずると上司に付き合う人が少なくなったというか」

「仕事に関してはあまりはっきりした感じもないんですよ。ただプライベートとビジネスを分けているというか。残業もあまりしないし、そのあたりにはしっかりと境界線を引いているという感じなので、プライベートの話題に触れにくいんです」

僕は、氷が小さくなったハイボールを飲み干した。彼もつられて少しぬるくなったような、泡の消えた残りのビールをグッと飲み干した。

「すいませ〜ん。ハイボールと生ビール!

でも僕の感覚だと、僕より下の世代、バブルが終わってから就職した人たちは、あまりお酒を飲まないという感じがするんだよね。ちょうど太田さんくらいかな。太田さんは何年入社?」

「私は1992年です」

「そう。僕はバブル絶頂期の86年に卒業して就職したから、イケイケどんどんと言うか、夜、タクシーも拾えない時代だったんですよ。それくらい夜遅くまでみんな飲んで、遊んでましたね。しかし、90年代に入ってから、あきらかに下の世代がお酒を飲まなくなった」

「そうなんですか。それなりに飲んでましたが……」

「いや、誘うと飲みには来るんですよ。でもあまり飲まない。弾けることがないというか。勧めてもあまり飲まない、飲めない」

「たしかに言われるがままに飲むと言うことはないですねぇ。一気飲みも世間から非難されてなくなりましたし」

「そしていまは『ゆとり世代』なんだなぁ。彼らは甘やかされた世代とも言われているけど、だからといって甘い飲み物が好きってわけでもないでしょ」

「まぁ、それはいいんですけど。私なんか酒と言えばビールから始まって、次は……と飲んでいくので、最初に甘い酒を頼む彼に違和感があって、その先に入り込めないんですよね」

「自分から飲みに誘ってきますよ」

いつの頃からか、広告代理店や調査会社の主導で、それぞれの世代に名称を付けるようになっている。例えば「新人類」「団塊ジュニア」。それらは決して連続でもなく、ある時から「ゆとり世代」と大きくひっくるめて呼ばれるようになった。

そして彼らは上の年代からは、つかみどころのない得体の知れない存在として社会に登場している……らしい。僕はそうは思わないが。

「気持ちはわかりますよ。でもだからといって誘えないというのとは別問題ですよね」

「そうですかねぇ」

「僕は、大学で非常勤講師もやっているんですが、彼らは決して飲まないわけでもなく、誘えば来るし、いま20代半ばの卒業生も相談ごとがあれば、自分から飲みに誘ってきますよ。彼らはまさにゆとり世代ですよ」

「へぇ??」

「で、飲みに行くと、そこで話しているのは、上司と飲みたいけどチャンスがない、って言ってるんですよ」

「そうなんですか!」

「いろんな卒業生と話すけど、そういう話は多いですよ。だから本当は上司と飲みにでも行って、もっとよく話をしたい、というのが本音だと思います。もちろん彼ら彼女らは、良くも悪くも飲み物も飲み方もマイペース。だから自分のペースで飲むし、話します。なにかよくわからない甘い酒を飲んでいる(笑)。

でもそんなことは問題じゃない。こちらが彼らに合わせることもないけれど、あえて合わせないという理由もない。であれば、大人の余裕で、こちらもマイペースで酒飲みながら話を聞いてれば、それはそれで意味のある時間です」

「別に誘っても大丈夫なんですねぇ」

「もちろん! ただ彼らにはマイペース以外にも特徴があるので、逆にそういう考えに触れて戸惑わないようにしなければいけませんよ。まず第一に……」

「ハムカツ、ポテサラ入りで〜す!」

注文していたハムカツが届く。ここのハムカツは珍しい。

ポテサラ“添え”ではなく、ポテサラ“入り”なのだ。というものここのハムカツは、いわゆる通常の薄いハムをミルフィール状に数枚重ねて揚げてある。で、ポテサラ入りは、その真ん中あたりにポテサラを挟み込んで揚げてあるのだ。なんとも高カロリーな一品だが、これがまた旨い。旨いものは身体に悪いと言うが、半分に切った切り口からポテサラが覗く。

写真:石塚 龍彦

「君はどう思う?」と尋ねる

「そうそう。彼らはだな。あまり考えないんだな。だから、すぐに『どうしましょう?』と言ってくる。これはよくない」

「たしかにそう言ってくることが多いですね。で、一緒に考えてあげるんですが……」

「おいおい、それじゃダメですよ。だって、一緒に考えると忙しい上司である太田さんの時間をとられてしまう」

「でもそうやって教えなきゃいけませんよね?」

「うん、教えなきゃいけないんだけど、それじゃただでさえ考えない彼らを、より考えなくてよくしてますよね。上司は忙しい。であれば、事前に考えさせないと」

「というと?」

「つまりですね。そういうときは『君はどう思う?』と尋ねることから始めるんです。まぁ飲んでいるときはそれでもいいのですが、昼間はそれも面倒なので『君の考えをまとめてから案件と対応策をセットで持ってくるように』と注文する。

そうすれば、その対応策が良ければ太田さんは『了解。それで進めて』と一言で済みます。太田さんが話す時間は3秒です。ダメならダメな理由を言って指示すればいい。こうすれば一緒に考えていくより半分以下の時間で処理できます。しかも部下は考えて持っていかないと上司が受け付けてくれないので、常に考えるクセができる。

ダメなときも自分で考えたあとの話なので、話が理解しやすい。だから、成長も促される、というわけです」

旨い揚げ物は冷めても旨い。ここのハムカツは、まさしくそのタイプ。熱々を口に入れるのも旨いのだが、落ち着いたところで噛めば舌を火傷することなく味わえる。

「おっしゃるとおりです! いつも忙しく、なぜかあっと言う間に時間がなくなってしまう、と思っていたのですが、実はそういうところで時間を取られていたんですね」

「もちろん彼らの特徴はそれだけではない。それは……」

話は続く……。

※本記事で登場する相談者の人物像、および相談のシチュエーションは、相談者本人を特定できないようアレンジしてあります。

田代 真人(たしろ・まさと)
編集者・ジャーナリスト。株式会社メディア・ナレッジ、株式会社マイ・カウンセラー代表。(社)日本産業カウンセラー協会認定産業カウンセラー。駒沢女子大学、桜美林大学非常勤講師。
1986年九州大学機械工学科卒業。その後、朝日新聞社、学習研究社、ダイヤモンド社と活躍の場を変え、ファッション女性誌からビジネス誌まで幅広く取材・編集。2007年メディアプロデュースを専業とする株式会社メディア・ナレッジを創業。同時に株式会社マイ・カウンセラーの代表就任。著書に『電子書籍元年』(インプレスジャパン)、構成作品に『もし小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』を読んだら』(日経BP社)がある。

こちらのコンテンツは日経BP社とアサヒビールの共同運営メディア「カンパネラ」より転載しております。

転載元URL:http://business.nikkeibp.co.jp/article/campanella/20141002/272044/

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