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国・産地

ドイツワインを極める

ビールとともに優れたワインの生産地としても知られるドイツ。主なワインの生産地は北緯47〜52度に位置し、世界のワイン生産地のなかでは最北にあります。日本でいえば北海道の宗谷岬からサハリンあたりまでの位置。大西洋を流れる温暖なメキシコ湾流によりもたらされる海洋性気候によって、思ったほど冬の気温は低くありませんが、高緯度であるために日照時間が短いなど気候条件に恵まれているとはいえません。

そんなドイツで優れたワインが生み出されているのは、土地の自然を上手に利用した人々の知恵によるものといえるでしょう。ぶどう栽培地をみると、ぶどう畑はほとんどがライン川やその支流の流域に位置しています。その理由は、川面に反射した太陽の光が辺り一帯を保温するとともに、秋には気温差により川から発生する霧が、寒さからぶどうを守ってくれるから。このように自然条件を生かしながら、独自の技術力をもって、土壌や気候に合わせたぶどう品種の開発を行っているのです。ぶどうの栽培面積は約99.907ha、ワインの年間生産量は約10,261,000hlと、ヨーロッパの他の主要生産国と比較すると多いとはいえませんが、北国ならではの優良なワインをつくり出しています。その生産量の約57.5%が白ワイン。冷涼な気候のためフレッシュでフルーティな風味の、エレガントなワインがつくられています。

ドイツにワインをもたらしたのは古代ローマ人。アルプスを越え、ぶどうの苗を持ち込んでその栽培を始めました。その後、モーゼル川流域を中心にワインつくりが盛んになり、ライン川流域へと生産が拡大していきました。4〜6世紀の民族大移動によりローマ帝国が滅亡したことによって、ドイツのワインつくりも一時衰退しますが、フランク王国のカール大帝が再建。修道院の力も利用しながら、栽培地の拡大や品質の向上に努めます。以降、ワインつくりの多くは修道士の手にゆだねられることになり、栽培から醸造まで研究と開発が続けられました。

その後、1618年に始まった30年戦争、1800年代後半に襲ったフィロキセラ禍など、幾度かの打撃を受けながら、ドイツのワインつくりはより質を重視するものへと変わっていきました。リースリングとシルヴァーナーという2大品種を中心に品種改良も盛んに行われ、ケルナーやドルンフェルダーといったドイツ生まれの優れたぶどう品種も生み出しています。

1971年に、EC(現EU)のワイン法制定に準じてドイツでもワイン法を大改正し、同時にぶどう園名の統合整理も行われました。これにより、ぶどう畑だけでなく、地名やワインの性質、品質等級をラベルに明記するようになりました。
ドイツワインは品質的に以下の4つに分類されています。また、ぶどう栽培地の概念に加え、エクスレ度(発酵前のぶどうの果汁中の糖度)によっても分類されています。

●ドイチャー・ターフェルヴァイン

(ドイツ産テーブルワイン)
ドイツ国内で生産されたぶどうだけでつくられたワインで、許可されたぶどう品種のみを使用。最低アルコール度数は8.5度以上。ぶどう品種やヴィンテージを表示する場合は、その品種や収穫年度のぶどうを85%以上使用するなどの条件がある。

●ドイチェー・ラントヴァイン

(地酒)
栽培区画を指定された地域産のワインで、条件はドイチャー・ターフェルヴァインに準じる。地区によってエクスレ度が異なり、味もトロッケン(辛口)またはハルプトロッケン(中辛口)のものに限られる。最低アルコール度数は8.5度以上。

●Q.b.A(カリテーツヴァイン・ベシュティムター・アンバウゲビーテ)

(生産地域限定上級ワイン)
指定された(=ベシュティムト)13の栽培地域(アンバウゲビーテ)のうちのひとつの地域内で収穫されたぶどうだけで生産される、品質のよい地域特性の高いワイン。最低アルコール度数は7度以上で、3段階の品質検査と官能検査を受ける。ラベルには収穫年、指定地域名、公認検査番号(略してAPNr)、生産者名、Q.b.Aの表示が必ず入れられる。

全13の指定栽培地域名
(ベシュティムタ・
アンバウゲビーテ)

●モーゼル・ザール・ルーヴァー

●ラインガウ

●ラインヘッセン

●ファルツ

●ナーエ

●アール

●ヘジッシェ・ベルクシュトラーセ

●ヴェルテンベルク

●フランケン

●ザクセン

●ザーレ・ウンシュトルート

●ミッテルライン

●バーデン

●Q.m.P(カリテーツヴァイン・ミット・プレディカート)

(生産地限定格付け高級ワイン)
13のアンバウゲビーテをさらに分けた40のベライヒ(小さな区画)のうち、1ベライヒに限定されたぶどうだけを使用したワイン。ドイツワインのなかで最高ランクと認められたワインで、果汁の最低糖度がQ.b.Aよりも高く、補糖は一切禁止されている。ラベルにはQ.m.Pの表示とプレディカート(肩書き)が明記される。プレディカートは収穫したぶどうの状態(果汁糖度)によって表のような6段階の等級に分けられる。

Q.m.Pの等級とそれぞれの特徴
等級 特徴 アルコール度数
カビネット 通常の収穫時期に、収穫規定に合う十分に熟したぶどうを原料としたもの。 7度以上
シュペートレーゼ カビネットの収穫時期より1週間以上遅く収穫した遅摘みのぶどうを原料としたもの。 7度以上
アウスレーゼ 完熟したぶどうの房の中から、良質の果実房だけを選んで原料としたもの。
(アウスレーゼ=選んで摘採したものという意味)
7度以上
ベーレンアウスレーゼ 房の中から超完熟の果粒を1粒ずつ選んで摘採したものを原料としたもの。
(ベーレ=果粒という意味)
5.5度以上
アイスヴァイン 完熟状態で氷結して糖度が濃縮されたぶどうの果実を原料としたもの。 5.5度以上
トロッケンベーレン
アウスレーゼ
貴腐菌付着等の原因により超完熟で乾燥した干しぶどう状の果実を原料としたもの。
(トロッケン=乾燥しているという意味)
5.5度以上

Q.b.AやQ.m.Pにより指定された指定栽培地域(ベシュティムター・アンバウゲビーテ)の主なものとしては、次のような地域があげられます。

モーゼル・ザール・ルーヴァー地域

Mosel-Saar-Ruwer

コブレンツでライン川と合流するモーゼル川、その支流であるザール川とルーヴァー川の3つの川の流域に広がる生産地域。ほとんどの畑は南向きで、最大傾斜70度の切り立った急斜面上にある。ドイツワインの銘醸地のひとつで生産量の90%以上を白ワインが占め、一般に華やかな香りと繊細な酸味が特徴といわれる。

ぶどう品種 白:リースリング、ミュラー・トゥルガウ、エルプリングなど。
モーゼル・ザール・
ルーヴァー地域の
主な地区
(ベライヒ)

ザール・ルーヴァー地区

  • ○ザール川とルーヴァー川がモーゼル川に合流する地区。
  • ○リースリングからつくられる白ワインは独特の酸味が特徴。
  • ○ザール川流域のワインは、力強い硬さとすっきりした味わい。ルーヴァー川流域のワインは、ブーケと酸味が強い。
  • ○モーゼル川上流では、エルプリングを主原料にした発泡酒、ゼクトがつくられる。

ベルンカステル地区

  • ○モーゼル川中流の急斜面は、「シーファー」と呼ばれる粘板岩質でスレート状の石がぶどう畑の表面を覆う特殊な土壌。
  • ○リースリングと土壌の組み合わせにより、酸味が際立った豊かな果実香やスパイシーな香りを持つ白ワインがつくられる。
  • ○代表的な村にピースポルター、ベルンカステルなどがある。

ツェル・モーゼル地区

  • ○ライン川と合流するコブレンツからツェルまでの下流流域。黄土質の土壌。
  • ○リースリングからつくられるワインは、フルーティでキレのよい酸味が特徴。
  • ○代表的なワインに黒猫のラベル「ツェラー・シュヴァルツェ・カッツ」などがある。

ラインガウ地域

Rheingau

ライン川本流北岸の南に面した約50kmにわたる斜面。この一帯は幅約1kmにもおよぶライン川が水鏡となり、光量が増す。しかも川からの霧が貴腐ぶどうに適した環境をつくるなど、自然の恩恵を受けたドイツを代表する偉大なワインの銘醸地といえる。

土壌・気候 ライン川北岸の南向きの日当たりのよい畑。土壌は黄土、粘板岩質など。
ぶどう品種 白:リースリングなど。
赤:シュペートブルグンダーなど。
ワインの特徴 ドイツワインのなかでも特にエレガントな香りと力強さをもつ、気品あふれる高級ワインを生産する銘醸ワイン産地として世界的にも有名。

ラインヘッセン地域

Rheinhessen

ライン川を挟んでラインガウ地域の対岸に位置し、西はナーエ川、北と東はライン川に接した広大な生産地域。栽培面積、生産量ともにドイツ最大。特にこの地域はリースリング、シルヴァーナー、ミュラー・トゥルガウ、ケルナーの4種類のぶどうを組み合わせてつくられる甘口の白ワイン「リープフラウミルヒ(聖母の乳)」発祥の地として有名。

土壌・気候 ドイツ最大のぶどう栽培面積。土壌は石灰岩と砂岩が混成した微粒砂土。
ぶどう品種 白:ミュラー・トゥルガウ、シルヴァーナー、ケルナーなど。
赤:ポルトギーザーなど。
ワインの特徴 果実風味豊かで、まろやかな味わいのワインが多く生産される。

ドイツワインといえば、甘口でフルーティな白ワインというイメージですが、食事とともに楽しめる辛口のワインが求められるようになったことから、2000年には「CLASSIC」「SELECTION」という辛口ワインの新たなカテゴリが誕生しています。「CLASSIC」とは、ワイン法によって定められたQbA(生産地域限定上級ワイン)を生産する13の地域でつくられたカテゴリで、伝統的なぶどう品種を用い、ドイツ国内すべてで統一された特別な品質基準をクリアしたワインです。
これは生産地や醸造者などの垣根を越えたもので、「CLASSIC」の表示があれば、いずれも高品質の辛口ワインを示すことになります。また、ロゴが統一されており、そのワインが「CLASSIC」に指定されていることが一目瞭然でわかるのも特徴です。そしてこの「CLASSIC」の上級クラス「SELECTION」は、より厳しい条件によってつくられたドイツにおける最上級の辛口ワイン。収穫量が制限された、選ばれた畑でつくられたぶどうのみを使い、収穫方法(手摘み)や熟成期間、ぶどうの糖度などが規定されています。ドイツワインのラベルには、ぶどう畑名、地名やワインの性質、品質等級などが明確に記されているため、消費者にはその特徴がわかりやすくなっていますが、このようなカテゴリもまた、ワイン選びの大きな目安となるでしょう。

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