日本では、単にウイスキーのソーダ割りと思われがちなハイボール。しかしモノの本によると、ベースはウイスキーに限らず、あらゆるアルコールで代用可とある。割るドリンクにしても、ソーダはもちろん、トニックウォーター、ジンジャーエール、果ては炭酸なしのジュースでもOKだという。世界中で大衆に支持されたのは、この「なんでもあり」のカジュアルさがウケたのかもしれない。 語源も諸説あり、混沌としている。最も有名なのが、イギリスのゴルフ場発祥説だ。クラブ内のカウンターでウイスキーを飲んでいたプレーヤーが、急に自分の順番が廻ってきたので慌ててウイスキーをチェイサーに入れて飲んだところ、これが意外にも美味だった。そこにたまたまゴルフ用語でいう「ハイボール(高い打球)」が飛んできたという説。他にもアメリカの鉄道で使われていたハイボール信号機に由来する説、あるいは単に炭酸の泡が上にあがっていく様子から名付けられたという説もある。 成り立ちにせよ語源にせよ、ハイボールには多くの含み(多様性)がある。本来のハイボールとはカクテルの種類ではなく、広い意味での自由なドリンクスタイルといえるだろう。ハイボールには「ウイスキーのソーダ割り」以上の可能性が秘められているのだ。 さて、昨今のハイボール人気にはいつくかの理由が挙げられる。そのひとつが「食」との相性の良さである。ウイスキーをソーダで割るというシンプルな味わい、そして炭酸がもたらすキレのある爽快感はどんな料理にもマッチする。食前酒としても申し分ない。つまり、少し前まではワインであり、焼酎であった「食」のパートナーとして、今ハイボールが見直されてきているのだ。 それから往年のファンにとっては懐かしく、若い人々には新鮮に映る、という世代を超えたポジショニングの良さもある。また大衆的でありながら、通っぽくもあり、「なんでもあり」の多様性も備えている。そういった間口の広さが、幅広い層からの支持を集めることに繋がっているようだ。最近では女性が「オシャレなドリンク」としてハイボールをオーダーすることも多いとか。 とはいえ、単にウイスキーをソーダで割れば、おいしいハイボールができるという訳ではない。次項からは、ウイスキーのタイプ別に、ハイボールの可能性を探ってみたい。