2011年5月13日、気持ちのいい五月晴れのなか、ホテルインターコンチネンタル東京ベイにおいて、「カクテルの日」記念イベントが開催された。会場には、日本のバーテンダー協会4団体、飲料メーカー各社、業界関係者、報道関係者ら、約200名が集まった。
そもそも、なぜ5月13日が「カクテルの日」なのだろうか? イベントのリポートの前に、そのことについて触れておこう。1806年、アメリカの新聞『バランス・アンド・コロン』紙において「カクテル」という呼称がはじめて使用された。その翌週の5月13日の紙面には、読者からの問い合わせに対して「カクテルの定義」がはじめて文書化された。この記事を発端に、アメリカでは5月13日が「カクテルの日」として制定されたのだ。
さて記念イベントでは、開宴と同時に、イベントを主催した日本のバーテンダー4協会が紹介された。日本バーテンダー協会(NBA)、日本ホテルメンバーズ協会(HBA)、プロフェッショナル・バーテンダーズ機構(PBO)、全日本フレア・バーテンダーズ協会(ANFA)の4団体だ。また同イベントの開催には多くの飲料メーカーが協賛している。つまり「カクテルの日」は、協会の枠を越え、メーカーの枠を越え、日本のカクテルシーンをみんなで盛り上げていこう、というこれまでにない新しい試みなのだ。
4協会を代表して、HBAの渡邉一也会長が「カクテルの日」発足の主旨を説明した。
「アメリカでは5月13日がすでにカクテルの日として認められていますが、5月は日本においてもカクテルにふさわしい季節です。新緑が鮮やかに映り色とりどりの花が咲き乱れる5月は、カラフルなカクテルの世界観に通じるものがあります。このカクテルの日をきっかけに、より多くの方にカクテルの楽しさや喜びを知っていただけたらと考えております」
代表挨拶に続いては、「カクテル・アンバサダー賞」の表彰授与式が行われた。この賞は、作品を通して多くの方にカクテルの魅力を伝えた3人の著名人に贈られた。漫画家の古谷三敏氏(代表作『BAR レモン・ハート』他)、漫画原作者の城アラキ氏(代表作『バーテンダー』他)、漫画家の長友健篩氏(代表作『バーテンダー』他)の3方には、その功績を表してトロフィーと特製のゴールデンシェイカーが授与された。
洋酒輸入協会会長・米井氏の挨拶のあと、お待ちかねのカクテルパーティーに突入。このカクテルパーティーが圧巻だった。即席のカウンターでシェイカーを振るのは、吉田貢氏(元パレスホテル)、阿部修夫氏(元ホテルニューオータニ)、毛利隆雄氏(MORI BAR)、上田和男氏(BAR TENDER)、保志雄一氏(BAR 保志)、山田高史氏(ノーブル)という、日本のカクテルシーンを築き上げてきた伝説のバーテンダーたち。業界関係者が騒然とするほどのトップバーマンが一堂に会した。その光景は、漫画『バーテンダー』のワンシーンのようだった。
パーティーの途中、「カクテル・アンバサダー賞」を受賞した古谷三敏氏と城アラキ氏、HBA会長の渡邉一也氏に改めて話を伺った。
「近ごろは銀座ですらカジュアルに飲めるようなバーが増えましたね。私も時々『1万円で7軒』というようなルールを決めて、仲間たちと銀座でバーホッピングを楽しんでいます。昔ならちょっと考えられなかった話です。それくらいバーやカクテルというものが、日本人にとって近い存在になってきたのではないでしょうか。その一方で、若い方のアルコール離れという話も聞きます。今の日本にはさまざまなスタイルのバーがあるのですから、より多くの方にカクテルの楽しさを知ってもらいたいですね」
「カクテルには非常にいろいろな側面があると思うのですが、日本でカクテルというと『冷たくて、やや甘いお酒』というイメージが強いように感じます。この『カクテルの日』の制定をきっかけに、ホットカクテルをはじめ温度にバリエーションがあるカクテルや、甘めのものだけでなくビター系のカクテルなどが、もっと流行るといいなと思います。特にこれまでカクテルを敬遠してきた方々に、カクテルの奥深い世界を知ってほしいですね」
「今年は業界関係者に『カクテルの日』を徹底的に告知し、来年からは広く一般の方に向けてイベントなどを開催していきたいです。来年2012年の5月13日は日曜日なので、主催者側としても今から楽しみです。今後の『カクテルの日』の活動に、どうぞご期待ください」
カクテルパーティー終盤には、フレアバーテンダーの金城光浩氏(Garden/Flair UPT)が登壇し、パフォーマンスを披露してくれた。「伝説のバーマンたちを前にあり得ないくらい緊張した」という金城氏だが、世界トップクラスのテクニックを次々に繰り出し、会場全体を陽気に盛り上げてくれた。
伝説のバーマンがつくるオーセンティックなカクテルから、フレアバーテンダーがつくるエンターテイメント性の高いカクテルまで、カクテルにはバーテンダーの数だけスタイルがある。だからカクテルは楽しい。この「カクテルの日」制定をきっかけに、より多くの人にカクテルの楽しさが伝わることを期待したい。早くも、来年の5月13日が待ち遠しい。
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