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ハピ”プロ”インタビュー | 「その道のプロ」にインタビュー。そこに在る「しあわせ」をレポート

シブヤ大学にはシアワセの要素がいっぱい詰まっているんです 左京泰明さん

人のために何かしたい!という思いを胸に、商社時代からNPOの活動には強い興味をお持ちだったという左京泰明さん。シブヤ大学の代表となった今、忙しくも、やりがいのある実に充実した毎日を送られていると言います。そして、渋谷の街全体をキャンパスとしてとらえた斬新な発想と、普通の大学ではなかなか受けることのできないユニークな授業で、今や大注目・大人気のシブヤ大学。そんな自由で新しいプロジェクトの魅力とともに、左京さんの幸せ観について伺いました。

人のために何かしたい!という思いを
シブヤ大学ならカタチにできると思いました

シブヤ大学ってどんな大学なのか、その特徴を教えてください

「シブヤ大学の教科書」(講談社/2007年9月/1500円)

まず基本的なところからいくと、地域に学校をつくりましょう!となったとき、土地は?校舎は?という話になりますが、僕ら(シブヤ大学)の場合、コミュニティの中に大学を建てるのではなく、コミュニティそのものを大学にしようという発想なんです。それをイメージしていただくと話しが分かりやすくなると思います。つまり、渋谷の街の中にあるカフェやレストランをはじめ、映画館や本屋さん、それこそ公園までもが教室と成り得ますし、先生にしても誰がやってもいいし、先生と生徒の立場が入れ替わってもいいという考えなんです。こうした気づきの発端は“渋谷の街って面白い人がたくさんいるね”というところにあって、そうした人たちに授業やってもらったら面白いだろうな、と。そして、彼らにも興味のある授業があったら生徒として受けてもらう。こうして、先生になったり生徒になったりしながらお互いに学んでいく、それがシブヤ大学の特徴です。それから、僕らは“渋谷の資源を活用する”って言っていますけど、企業や行政、市民、それこそもっと小さな個人商店など、立場や組織を越えたいろんな連携で、みんなで大学というシステムをつくっていく。僕ら、英語では「SHIBUYA UNIVERSITY NETWORK」とネットワークという言葉を使っていますが、これは人と人とのつながりに近いニュアンスで、生涯学習としての機能に加えて、地域のコミュニティを良くしていこうという機能があることを表しています。

構想から開校まで、どのような経緯でスタートしたのですか?

もともとの構想は、現在渋谷区議員をされている長谷部健さん(NPO法人グリーンバード代表)が、こんな大学があったら…ということで、2004年に区に提案されています。ただし、新しい試みのためなかなか動かず、そんな状況の中で2005年の11月に長谷部さんと周囲にいる友人たちが集まって、シブヤ大学というものをもう一回考えてみようと。行政主導ではなくて、民間主導でできないか?という話し合いが始まって、そのタイミングで僕もプロジェクトに乗員しました。以前から非営利組織(NPO)の活動に興味があって、長谷部さんがグリーンバードでやられていたことだとか、そこに新しく用いられたビジネスの手法ということなどを勉強したいと思っていました。2005年10月末に勤めていた会社を辞めて、11月1日から長谷部さんのお手伝いという立場でシブヤ大学に関わっていくわけですが、実際に自分なりにいろいろ考えていくと、どんどん面白く成っていって…。である日、僕自身、コレ(シブヤ大学)がやりたい!と気づき、2005年の年末、当時のメンバーたちに夜中にメールを送り、「僕が代表をやります!」と宣言しました。そこから急ピッチで準備を始めて、2006年9月に授業を開始しました。

教える側にも、教わる側にも、
みんなに喜んでもらえる授業を目指しています

シブヤ大学では実際にどんな授業が行われているのですか?

ここシブヤ大学においては、著名な方々から、誰かのお父さんといった一般的には全く無名な方まで先生になります。娘さんからの推薦で実現した、渋谷区内にある日赤医療センター・緩和ケア科の先生による授業は、末期医療におけるとても興味深いお話しをはじめ、そうした仕事に携わっている父と娘の考え方や触れ合いを垣間見ることができ、とても印象深いものとなりました。他には、保母さんならではの視点に、親子のコミュニケーションを学んだり、バースコーディネーターの大場ナナコさんからは、出産の素晴らしさを学んだり。HIVに関する授業では大学生の方が先生になりましたし、変わったところでは、円山町の芸者さんの授業なんていうのもありましたよ。授業のバリエーションは本当に豊富で、先月は明治神宮さんと一緒にいろいろやらせていただきました。

明治神宮さんの授業って具体的にどんなことを学ぶのですか?

明治神宮の森って、あまり人工の森というイメージがないかと思いますが、2月は、そこを管理されている方に森の授業をしていただきました。あの森は、当時(およそ100年前)の叡智の結晶で、あの場所、天候の中で「100年経ったら自然の森に還る森をつくるにはどうしたらいいか?」という、エコなんて言う前の前の前の時代に、すでにそういうことを考えてつくられていたそうです。そういったお話しを聞きながら、みんなで森を散策するという授業を行いました。また、明治神宮さんには、全国から神職さんが研修に来られるそうで、その修行用のプログラムの一部を一般に公開したら面白いんじゃないかということで「夜間参拝」という授業も行い、こちらも大人気となりました。これは、みんなで白装束を着て、たいまつの灯りの中を歩いて本殿まで行き、そこからさらに普段は絶対に入ることのできない、神様の目の前で参拝を行うというものです。神道というのは説法とかではなく、神様と向き合い、そして自分と向き合うという非常にナチュラルな教えなんです。そこで灯りがドンと消え、真っ暗な中で鎮魂(ちんこん)を体験しましたが、無音状態になると不思議とキーンと音がするということを初めて知りました。この授業では、参加者たちは普段体験することのできない神秘的な時間を体験することができましたし、明治神宮さんにとっても、若い人たちが関心を持って集まってくれるということで、お互いにとっていい授業になりました。

生徒の応募状況や先生の選考基準などについて教えてください。

授業の申し込みについても、最初は先着順に受け付けていましたが、あまりの応募者数に昨年の夏頃から抽選になりました。今、人気のある授業だと定員数の10倍くらいの応募がありますが、箱を大きくするにはそれだけお金もかかりますし、限られた人数だからこそできる授業の良さというものを優先しています。先生の選考については一応、渋谷に住んでいる人、在勤・在学の人、もしくは何らか渋谷と関わりのある人といった具合に、かなりゆるい制度を設けています。話が上手かどうかはあまり問題ではなく、要は話の中にどれだけ気持ちが込められているか。教える側にとっても、教わる側にとっても喜んでもらえる、シブヤ大学ではそんな授業を目指しています。

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プロフィール

左京泰明さん

1979年生まれ。福岡県出身。早稲田大学第二文学部卒。卒業後、住友商事に入社。経理部にて、会計・税務コンサルティングを担当し、事業運営の基礎を学ぶ。2005年、自らの道を歩むべく退社を決意。同年、NPO法人グリーンバード代表の長谷部健氏に出会い、将来のビジョンなどで、お互いに意気投合。10月に退社した後、NPO法人グリーンバード副代表に就任、NPO法人運営全般のノウハウについて経験を積む。その後、長谷部氏が発案したプロジェクトである「シブヤ大学」に強い魅力と可能性を感じ、自ら同プロジェクトの代表として名乗りを上げる。2006年4月、シブヤ大学学長に就任。
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