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「やっぱり白馬の王子様ってのはいないのかなあ」 |
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「どうなさったんです、唐突に?」 |
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「いや、映画を観てきたんですけど、なかなかあんな恋愛ってできないよなあと思って」 |
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「現実にはいろいろと制約も多いですからね」 |
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「女ひとりで飲んでるとす〜ぐナンパ男が寄ってきたりして。うざったいったらないんだけど、夢は夢として、あるんですよね。雰囲気のいいバーで、ちょっとそれっぽいカクテル飲みながら素敵な男性に口説かれてみたいなあとか」 |
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「〈エンゼル・キス〉なんか、昔はよくプロポーズの小道具に使われていたそうですよ。色よい返事をもらえなかったら近くの花瓶に捨てちゃいなさいなんてコメントの付いている本もありましたっけ」 |
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「なにそれ。ひっどーい」 |
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「まあ、男性が飲むにはいささか甘すぎるというか、『振られたんだからすっぱりあきらめろ、女々しいことをするな』ってことなんでしょうね。見た目はとてもかわいらしいカクテルですからいまでも結構人気はあるんですが、飲んでみますか?」 |
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「うーん、マスターと疑似恋愛ってのもぞっとしないなあ」 |
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「はは、それじゃすっぱり花瓶に捨てましょう」 |
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「でも、〈キス・イン・ザ・ダーク〉とか〈キス・オブ・ファイア〉とか、ほんとに頼む人っているんですか?」 |
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「これで案外人気あるんですよ。もちろん男性が女性にご馳走する場合もありますけど、やっぱり名前が興味を引くんでしょうね、女性が自分で試してみたくて注文されることも少なからずあるようで・・・ああ、もちろんナンパ男がいないタイミングを見計らってですよ」 |
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「みんな考えることは一緒なんですね」 |
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「映画だとエキストラが主人公にからんでくる場面なんてありませんけど、黙っていても注目を浴びる女性がそんなカクテルを頼んだら、勘違いする男が出たって不思議ありませんからね」 |
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「ドラマのようにはいかないってわけだ」 |
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「まあ、あながちそうとも限らないんですけど・・・向こうの若い男の子。さっきから何か言いたげな顔してるの、気づいてました?」 |
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「あれ?・・・いやだ、昔の友達みたい。ちょっと行って来ますね」 |
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「・・・はてさて、頬が赤かったように見えたのはお酒のせいなんでしょうかね・・・」 |
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